『……呪具の気配が2つ。ビオラさんの持つ呪具は……こちらですね。そこに、ビオラさんはいると思われます。私の後についてきてください』

そう言って、八咫烏はビオラさんがいるであろう場所に飛んでって、僕らは八咫烏の後を追いかけた。

八咫烏は、とある部屋の前で止まる。そして、その部屋のドアをじっと見つめた。

『ビオラさんは、この中にいると思います』

八咫烏の言葉に、父様は「分かった。ありがとう」と返すと、僕らの方を見る。僕の近くにいたクラル様が無言で頷くと、父様も小さく頷いてゆっくりとドアを開いた。

「……待っていたよ」

部屋に入ると、部屋の隅の方で立ってたビオラさんは僕らの方を見て微笑む。ビオラさんの片手には、呪具である剣が握られていた。

「……ビオラ……その剣、どうしたの?」

ルカさんの問いかけに、ビオラさんは「ルシフェル様にもらった」と笑みを崩さずに答える。

「ビオラ。戦うのは、止めない?僕は、ビオラと戦いたくないんだ」

「……ルシフェル様から、命令されているんだよね。ルシフェル様を邪魔する者は、消すようにって」

ビオラさんは、そう言って剣を構えた。

父様が、ティムの方を見る。それを合図にするように、ティムは笛を吹き始めた。

初めて解呪の笛を吹いた時よりも、美しくて綺麗な音色が部屋中に響き渡る。