「ふーん。ここがクラルの言ってたやつのいる場所か?はは、僕たちの城よりもちっぽけだな」

嘲笑うように言うギルバートさんに対して、クラル様は「……その城って、魔王城のこと?」と言う。

「そうだけど、何か?」

「いや、何も?……先に言っとくけど、僕らの邪魔だけはしないでよ?」

「はっ、それはどうだかな」

前言撤回。すでに、言い合いが始まりそうな雰囲気だ。戦いの最中に、喧嘩を始めたりしないだろうか。心配だ。

「……お前らな……こんな時に……」

父様が、呆れたような顔をする。普段とは違うクラル様の雰囲気に、アーサーとティムはキョトンとした顔をした。

「ルーチェ、あの2人って……」

ルカさんが話しかけてきて、僕は「いつも、あんな感じですよ」と苦笑しながら返す。

「そうなんだ……クラルくんにギルバートくん。言い合いは他でやって。今は、敵陣にいるんだから」

ルカさんの言葉に、クラル様は「すみません」と返して、ギルバートさんは無言で顔を逸らした。

「……よし。行くよ」

父様の言葉に、ギルバートさん以外全員は一言返事をする。そして、僕らはルシフェルさんがいる屋敷に入った。

僕の肩に止まってた八咫烏は、『呪具の気配がします』と僕の肩から離れる。