「ありがとうございます」

僕はそう返事をすると、図書館にある本を見て回る。

本を選んでいると近くから「そこにいるのは、クロードか?」という声が聞こえてきて、僕は声がした方を見る。

そこにいたのは、ふわふわした金髪の男性だった。

「久しぶり。ずっと研究室に閉じこもってるお前がこの図書館にいるの、珍しいね」

「久しぶりだね……何言ってんの。たまには、外に出たい時だってあるよ……って、その子は?」

男性は、僕をじっと見つめる。

「あぁ、この子は……訳ありで、うちで育てている子だよ。ほら……ルーチェ、自己紹介」

父様に言われて、僕は「初めまして。ルーチェ・クロウディアと言います」と自己紹介をした。

「クロウディア……なるほどな。俺は、レオン。こいつとは同級生で、同じ学校に通っていた。今は、魔法薬の研究をしている……立ち話もなんだし、俺の家に来ない?」

男性――レオンさんの言葉に、父様は僕の方を見ながら何かを考え込む。

「……僕は、別の日でも大丈夫ですよ。父様の判断にお任せします」

僕が微笑みながら言うと、父様は少し考えてから「分かった。お邪魔させてもらうよ」とレオンさんの方を向いた。

父様のその言葉に、レオンさんは無言で微笑んだ。