｢……クラル様……｣

僕はルカさんの話を聞きながら、蹲ってるクラル様に近づいて声をかけると、クラル様はゆっくりと僕の方を見た。

｢……｣

僕と目を合わせたクラル様は、すぐに僕から目を逸らす。

｢……あの、ルカさん｣

ルカさんの方を見て、クラル様はルカさんに話しかける。

｢ん？｣

｢……ルーチェと2人きりで、話をさせてもらってもいいですか……？これは、僕が伝えないと駄目なこと、だから……｣

｢……分かった。話が終わったら、僕らのいる部屋まで来て。場所は、モンスターに伝えとくから｣

｢ありがとう、ございます｣

チラリとルカさんの方を見てみれば、ルカさんは父様を連れて部屋を出てった。それを少しだけ見た後、僕はクラル様へと視線を移す。

｢……僕ね、ずっと考えてたの。ルーチェを側近に選んで良かったのかって……ルーチェは、冒険者になった方が良かったんじゃないかって……分からないんだ。ルーチェが、どうして僕の側近になるって言ってくれたのか。本当は、無理をしてたんじゃないかって……｣

｢……｣

クラル様の言葉に、クラル様の表情に、僕は何も言えなくなる。

｢そう考え出したら、怖くなるんだ。いつか、ルーチェが離れてくんじゃないかって……｣