「……これなら、答えを見つけられそうな気がする」

そう呟いてから、僕はひたすらペンを動かした。頭に浮かんだこと、ここに来てから考えたことを、消えてかない内に出来るだけ書き留める。

「…………見つけた。僕なりの答え」

ペンを机の上に置いて、僕は文字で埋め尽くされた紙を見つめた。

大賢者になりたいと思ったのも、強くなりたい理由も、僕が側近になると決めたのも。

すべては、クラル様を……家族を守るため。そして、クラル様の役に立ちたいから。それからーー。

「……案外早く見つけたんですね」

突然後ろから声がして、僕は声がした方を見る。そこにいたのは、八咫烏……ではなくて、僕の姿をした八咫烏、レイチェルだった。

「あなたが早く答えを見つけたみたいなので、聞きに来ましたよ。あなたなりの答えを、聞かせてください」

レイチェルの言葉に、僕は「分かった」と頷く。

「まず、僕が強くなりたい理由は……クラル様を、家族を守るため。僕が小さい頃、父様や母様は僕を野生のモンスターから守ってくれた。だから、今度は強くなって、僕が皆を守るんだ」

「……強くなりたい理由は分かりました。なら、大賢者になって、あなたはどうしたいんです?」