2人は同時に動きを止めると、僕の方を見た。

「ルーチェ様……」

「……ルーチェ……」

「リル、状況の説明を」

僕がリルに近づきながら指示をすると、リルは一言返事をしてから色々と説明をしてくれる。

「なるほど。クラル様と一緒にカラミティに行こうとしたら、ここへ2人が来た。そしたらカナタさんがいきなりクラル様に攻撃を始めて、一方的に攻撃されてるクラル様を見てるだけだったリルはそれに耐え切れなくなったから攻撃しそうになったってこと?」

僕が話をまとめると、リルは「申し訳ありません」と頭を下げた。

「……それは後で。リル、クラル様はどこ?怪我をしてたら、手当てしないと……」

辺りを見渡しながらリルに問いかけると、リルは「すみません。気が付いたら、いなくなっておりまして……」と答える。

「……そっか。困ったなぁ……」

僕が呟くと、僕らの近くまでクラル様が吹き飛んできた。クラル様は上手いこと地面に着地するけど、すぐにバランスを崩して地面に座り込む。

「クラル様!」

僕が声をかけると、クラル様は弾かれたように僕の方を見た。

「……ルーチェ……」

クラル様は傷だらけで、表情はどこか暗い。

「……あれ、魔王クラルの側近までいるのか……」

クラル様に声をかけようとしたら、近くの茂みからとある人物が出てくる。見覚えのある姿に、僕は驚いた。

茂みから出てきたのは、僕と同じ黒髪に紫色の瞳のビオラさんだった。