「あのモンスターが持っている呪具は、代々この家で封印されている持ち主がいない呪具なんだ。あの呪具は、触ったものに憑依して暴走させる力がある」

そう言って、父様は剣を構える。そして、モンスターに向かって走り出した。

父様は地面を強く蹴って跳び上がると、剣で呪具を持っている手を斬りつけようとする。

モンスターは咆哮を上げると、父様を地面に叩きつけた。

「父様……っ!」

気が付いたら、モンスターは呪具を持っていた方の手を僕に向かって振り下ろしている。次の瞬間、モンスターは悲鳴を上げて呪具から手を離した。

音を立てて、僕の近くに呪具が落ちる。

モンスターの腕には、矢が刺さっていた。母様の放った矢だろうか。

呪具から手を離したモンスターは、急いで呪具を拾おうとする。

……モンスターに、呪具を拾わせたらダメだ……呪いに強いらしい僕が、拾わないと……!!

僕の直感がそう言ってて、僕は走って呪具に近づいて手を伸ばした。呪具に手を触れた瞬間、目の前が暗闇に染まる。音も、何も聞こえない。

『お前は何故、力を求める?』

どこからか、誰かの声が聞こえる。

「誰!?」

『私は、この呪具の化身。呪具の力を制御する存在……先に言っておく……私は、この呪具の持ち主が現れた時にしか制御はしないからな』