「はぁ~、いい結婚式だったぁ。ね、由人先輩」
「うん? ああ、そうだな」
由人先輩の運転する車の助手席で、あたしは柄にもなくうっとりとした表情を浮かべる。
今日は、小学校からの腐れ縁……もとい親友の榎本一花の結婚式。
「『6月に結婚する花嫁は幸せになれる』なんてジューンブライドのジンクスを信じるなんて、一花も意外と乙女なとこあるんだなぁ」
「いいじゃん。女なら、そういうのってやっぱ憧れるもんなんじゃないの?」
「まあ、そうかもですねー」
「……って言いつつ全然興味なさそーな顔してるけど」
「えへっ、バレました? だって、あたしには関係ない話だし」
苦笑いを浮かべる由人先輩に、ペロッと舌を出してみせると、
「ふぅん。関係ない話、ね」
と、由人先輩がなぜか意味深な言い方をした。