土曜日
 
ついに定期演奏会の日がやってきた。



蓮くんは会場の準備やリハーサルがあるため、まだ私が寝ている間に出発した。







私は昨日の間に家から持ってきた3着のワンピースのどれを着ていくか迷っていた。




ピンクか白か青か。




リボンはいつものをつけたい。



そうなるとやっぱりピンク色のワンピースだよな。







いつも付けているこのリボンは、小さい頃コンクールに出場する時付けていたらどこかで落としてしまった。





しかし、しばらくすると歳の近い男の子が拾ってくれたんだっけ。




その男の子はその後のコンクールでも何度か会いお友達になることができた。



プロのヴァイオリン奏者になることが夢だと太陽のような笑顔で言っていたのを今でも覚えている。




懐かしいなぁ。




その子は今何をやっているんだろう。





「花理ちゃ〜ん!」



下から真琴さんが上がって、急いで私の部屋へ入ってきた。




「蓮がお弁当忘れちゃって!
私今日仕事あるの。だから、届けてもらっても良い?」





「はい!今日の定期演奏会見にいく予定だったので。もう行った方がいいですよね?」




「うん。ほんと、ごめんね。
蓮にもよろしくって言っておいて。
お弁当、、食べてくれるかはわからないけど。」





「え?」





「いえ、なんでもないわ。じゃあ、よろしくね花理ちゃん!」





真琴さんが何を言おうとしていたのか聞きたかったけど、お昼が近づいて来ているので急いで行かないと。