「あら、花理ちゃんおかえりなさい。」




「ただいまです。」



真琴さんは話しながら、部屋を片付けていく。




「お風呂入ってきて良いわよ。
明日ヴァイオリンのレッスンなんだっけ?」






「はい!お先に失礼します。」





花理は1度階段を上がり自分が借りている部屋へお風呂に入る準備をする。




お風呂セットを持って、下へ降りる時ちょうど
向かいの部屋から蓮くんが出てきた。




「あ、蓮くん」




「ん。」




お風呂上がりなのか、少しいつもの黒髪から雫がたれそうだ。




見慣れた制服ではなく、ゆるっとしたスウェットとズボンを履いていて新鮮な気がする。




花理は見てはいけないものを見ているような気がして、目を逸らした。






「どうした?」




一歩前に出て花理の顔を覗き込んだ。



蓮の頭の上にははてなマークがうかんでいる。




イケメンは心臓に悪いって、、





「なんでもないっ。私お風呂入ってくるね!」





その場から逃げらように下へ降りる時、



「定演来るんだってな。」


「え、なんで知ってるの?」




「天音が言ってた。花理が来るからよろしくって。」




ドキッ





天音が言ってたセリフをそのまま言ってくれただけだけど、自分の名前を呼んでもらえたような気がして



なんか、嬉しい。




「ちゃんと来いよ」




とだけ言って、また部屋へ入ってしまった。






あのクールな蓮くんが少しずつ心をひらいてくれてる!



今日1日のおかげで、近づくことができた気がした。