目の前にある小森の自宅は3階建ての一軒家で、コンクリート打ちっぱなしのお洒落な外観。
これまたコンクリート打ちっぱなしの門塀に、ステンレス製の表札で『こもり/KOMORI』と記されている。
「なんか、わざわざごめんね?」
「あ、いや、……俺がしたくてしたんだから、謝んなくていいから」
「……うん」
人感センサーのライトに照らされ、申し訳なさそうな表情の小森の頭を一撫で。
「じゃあ、また月曜日に」
「うん」
踵を返して、その場を離れようとした、その時。
ガチャッという音と共にロングスカートの女性が現れた。
条件反射で、思わず振り返って見てしまった。
「まどか、……お友達?」
「あ、お母さん、……彼が上條君」
「あらっ!上條君?!」
「……こんばんは、……まどかさんのクラスメイトの上條です」
「噂はかねがね伺ってます♪」
ンフッと色気のある吐息を漏らしながら手招きする小森の母親。
無視することも出来ず、仕方なく門塀の中へと。
「お夕飯食べた?」
「……あ、いえ、まだですけど」
「じゃあ、上がって食べてかない?」
「え……」
「ね♪……せっかく来てくれたんだから、手ぶらじゃ帰せないから」
「………」
「ごめんね~っ、お母さん、一度言い出すと聞かないからっ」
にこにこと笑顔を向けられ、断り切れない。
「……では、お言葉に甘えて」
「やだっ♪イケメンな上に礼儀正しいとか、萌えきゅんポイント急上昇しちゃうんだけど♪」
「……お母さん、恥ずかしいから黙ってて」
「っ……」
小森が言ってた、両親はラブラブだというのが何となく想像がついてしまった。



