嫌な予感がする。
まぁ、こういうことも想定内だけど。
「どこまで行くんですか?」
「黙ってついて来なさいよ」
やっぱりね。
あからさまな態度が物語ってる。
中庭の端まで連れて来られた。
西棟の一番端。
辺りを見回した、その時。
シャーっという音と共に勢いよく水がかかった。
「いつもウザすぎるほど暑苦しんだよ、アンタ。少しは頭でも冷やしな」
嘲笑するような視線を向け、真島が水を浴びせて来た。
西棟の一番端にある理科室の脇にある水栓に取り付けられたホース。
ノズルが拡散シャワー状態になっていて、見事にまどかはずぶ濡れになった。
「ん?……あれ?……水がっ……ッ?!」
急にシャワーの水が止まった。
真島の声に反応するように瞑っていた目を開くと、真島の背後に上條が立っていた。
水流を止めるように上條がホースを踏んでいる。
近寄りがたいオーラを放つ上條が自ら話し掛けて来たとあって、真島は一瞬で紅潮した。
ゆっくりと顔を近づけ、耳元に呟く。
「気は済んだか?」
「へ?」
「この間のを根に持ってやったんだろ?」
「……っ」
赤らめていた真島の顔が、みるみるうちに蒼ざめてゆく。
真島の手からホースのノズルを取り上げた上條の口角が、緩やかな弧を描いた。
そして、踏みつけていた足を持ち上げ、シャワーのノズルから勢いよく水が飛び出す。
「キャァーッ!!」
「ざまぁ~みろ」
まどかにかけられた量より遥かに多くの水が浴びせられる。
「こういう遊びがしたいんなら、俺が相手してやる」



