冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心


翌日のお昼休み。

「まどかちゃん、どうしたの?」

いつものように俺の席に来た朝陽が、無言で横に立つまどかに気付いた。

「長瀬も呼ぶ?」
「……うん」
「長瀬~、一緒に食べるぞ」
「えっ、……どういうこと?」

自席にいる長瀬を呼ぶ。
少し前まで朝陽と一緒に空き教室で昼飯を食べてたが、今日からはまどかと長瀬も一緒に食べることにした俺ら。

「移動する?」
「う~ん、どこでも大丈夫」
「じゃあ、……ここで。移動すんの面倒だし、時間の無駄だから」
「うん、分かった」
「ここで食べればいいのね?」
「そういうことになった」

長瀬にはまどかから話が伝わってるようだ。

「朝陽、今日から4人で食べるから」
「え?……それは構わないけど、何で急に?」
「あのねっ、……お弁当作って来たの、……廉の分も」
「ッ?!!……了解♪よかったな、廉」
「顔がうぜぇ」
「廉の顔の方がウザいよ」
「黙れ」
「2人とも煩いっ」
「「あ」」

机の向きを変えると、目の前にお弁当箱が置かれた。
すると、そんな俺らの光景を目の当たりにしたクラスメイトが一瞬で駆け寄って来た。

「客寄せパンダじゃねぇぞ」
「俺もまどかちゃんの手作り弁当食べたいっ!!」
「俺も俺もっ!」
(ひと)の彼女の下の名前を、俺の許可なく勝手に呼ぶな」
「出たぁ~!!上條節」
「はぁ~?!」
「彼女オンリーラブな廉だから、みんな許してね~♪」
「はーい、散った散った!これ以上覗くと、観覧料いただきまーす!」
「おっ、和香ちゃん、カッコイイ♪」
「唾が飛んでる中で食べたくないだけ」
「あーねー」

長瀬の毒舌ぶりにスカッとした。