上條君と付き合うようになって、どんどん好きになってる。
こんな気持ちになったのも初めてだし、感情を伝えるのも初めてだらけで。
和香に相談したら、『どんな些細なことでも、まどからしく全力投球が一番だよ』とアドバイスを貰った。
不器用な性格だから、和香の言葉がスーッと沁みこむ。
だって、私に駆け引きなんて無理だもん。
学校内外でも絶大な人気を誇る彼が彼氏になってくれただけで。
たぶん、一生分の幸運を使い果たしたんじゃないだろうか。
彼はいつだって私を守ってくれる。
いつでもどこでも気にかけてくれて。
何も言わずに手を差し伸べてくれる。
そんな彼の気持ちに応えるためにも、私に出来ることなら何だってしたい。
手を繋ぐことも、頭を撫でられることも好きだけど、視線を合わせて見つめ合うのも好き。
今こうしてぎゅっと抱き締められていること自体が夢のようで。
もっと触れて欲しいって欲が出ちゃう。
無意識に彼の服を掴んでいたようで。
離すタイミングが分からない。
「まどか、顔上げて」
「っ……」
後ろ首に添えられる手が熱い。
ゆっくり視線を持ち上げるように仰ぎ見ると。
「俺も一応、男だから」
「っっ……」
「嫌だったら、抵抗して」
「っっっっ」
じっと見つめている彼の顔が、ゆっくりと近づいて来た。
嫌なわけがない。
好きすぎて、左胸から警告音が鳴り響いてるのに。
優しく触れる唇。
彼とのキスは二度目なのに。
最初の事故チューが完全に上書きされた。
「……好き」
「っ……」
自分の口から溢れた言葉に照れる彼が視界に映った。



