「質問していい?」
「ん?」
駅から自宅へと向かう途中。
繋がってる手がぎゅっと握り返された。
「いつから、……私のこと、気になるようになったの?」
「……いつから……だったかな…」
真剣な表情で尋ねて来た。
いつからだったろう?
初めて会話した、電車内での痴漢遭遇の時は、まだ意識してなかったよな。
歓迎会のピアノ演奏の時も、まだそれほど『好き』という感情ではなかったような。
「ごめん、はっきりしたことはいつって言えないんだけど。たぶん5月6月くらい?気付いたら、目で追ってた」
「えっ……」
「何、その表情。軽く傷つくんだけど」
「あ、いや、そうじゃなくて……。夏頃かなぁとか思ってたから」
「夏?」
「……うん」
「何でそう思うの?」
「会話の言葉が優しくなった気がして……」
「あーん~、そうかも」
朝陽に言われ、『好き』だと自覚したのが夏だからだ。
けど、実際はそれよりももっと前から好きだったんだと思う。
人に興味を示すことも、好きになることも初めてだから。
自分の感情が何なのか、自分でも分からなかった。
「俺も質問していい?」
「はい、何でもどうぞ♪」
にこっと微笑むまどかに、胸の奥がきゅんとする。
「毎日送り迎えしたいとか、休みの日は出来るだけ逢いたいだとか、言ったら重いか?」
「ふぇっ?」
「朝陽に重いって言われたから。俺はいつでもまどかと一緒にいたい」
「っっっ……」
「けど、友達と遊ぶ時間も、1人の時間も大事だろうし。そこら辺は俺も理解してるつもりだから、遠慮なく言って」
「……重たくないよ。……そう言って貰えて、すごく嬉しいよ?」



