冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心


「あ……」

玄関の外に、まどかと長瀬がいた。

「まどかちゃんに説得されたっぽいよ。ちゃんと謝んなよ?」
「……ん」

朝陽がやれやれ的な顔をする。
分かってるよ、俺だって。
まどか以外の女なんて、正直どーでもいい。
だけど、『彼女の親友』という特別枠だから、長瀬が。

「長瀬、さっきは言いすぎた。悪い」
「……私もきつい言い方してごめんね」

長瀬の隣りにいるまどかが、ホッと安堵した表情を浮かべた。

「まどか、嫌な思いさせてごめんな」
「ううん、私は平気だよ」

にこっと微笑む彼女が、天使に見える。
マジで可愛い。

「廉、自主規制レベルです」
「っ……」

顔に出てたらいい。
だって、あの笑顔はヤバいって。
あー今すぐハグしたい。
我慢マガン。



「まどかちゃん、廉んちに寄ってくの?」

朝陽の言葉にチラッと視線が寄こされた。

「別に構わないけど」
「……いいの?」
「ん」

そのおねだり顔は、威力がハンパないです、まどかさん。
朝陽、ナイスアシスト。
どうやって誘おうかと悩みあぐねてたから、マジで助かった。

「上條、まどか泣かしたら、ただじゃおかないからね?」
「分かってるって」

長瀬にとって、かけがえのない親友なのは十分承知してる。
俺にとっても、大事な彼女なんだから、泣かせるわけがねぇだろ。

虎ノ門ヒルズ駅で2人と分かれ、まどかと手を繋いで自宅へ向かう。