「あ……」
玄関の外に、まどかと長瀬がいた。
「まどかちゃんに説得されたっぽいよ。ちゃんと謝んなよ?」
「……ん」
朝陽がやれやれ的な顔をする。
分かってるよ、俺だって。
まどか以外の女なんて、正直どーでもいい。
だけど、『彼女の親友』という特別枠だから、長瀬が。
「長瀬、さっきは言いすぎた。悪い」
「……私もきつい言い方してごめんね」
長瀬の隣りにいるまどかが、ホッと安堵した表情を浮かべた。
「まどか、嫌な思いさせてごめんな」
「ううん、私は平気だよ」
にこっと微笑む彼女が、天使に見える。
マジで可愛い。
「廉、自主規制レベルです」
「っ……」
顔に出てたらいい。
だって、あの笑顔はヤバいって。
あー今すぐハグしたい。
我慢マガン。
*
「まどかちゃん、廉んちに寄ってくの?」
朝陽の言葉にチラッと視線が寄こされた。
「別に構わないけど」
「……いいの?」
「ん」
そのおねだり顔は、威力がハンパないです、まどかさん。
朝陽、ナイスアシスト。
どうやって誘おうかと悩みあぐねてたから、マジで助かった。
「上條、まどか泣かしたら、ただじゃおかないからね?」
「分かってるって」
長瀬にとって、かけがえのない親友なのは十分承知してる。
俺にとっても、大事な彼女なんだから、泣かせるわけがねぇだろ。
虎ノ門ヒルズ駅で2人と分かれ、まどかと手を繋いで自宅へ向かう。



