冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心


「最近さぁ、上條と付き合うようになって、小森すっげぇ色っぽくなったよな」
「なったなった。前から美人だとは思ってたけどさ、結構澄ました感じで可愛らしさ足りない感じだったのが、最近妙にエロ可愛いよな」
「よぉ、お前ら、人の彼女で変な妄想してんじゃねぇぞっ」
「うっ……、ごめんごめんっ」

真面目すぎるほどに学校生活に全力投球だったまどかが、俺と付き合うようになって、『女子高生』を謳歌し始めた。
それが、男連中の目には『フェロモン』に感じるようで。
今までは『委員長』だとか、『小森さん』と声掛け易かったまどかに、今は完全に『近づき厳禁』厳重アラート発令中。

「まどかちゃん、このティント、超おすすめだよ~」
「可愛い色だねっ」
「あっ、その色、絶対まどかに合いそう!」

今までクラスの女子とも壁があったまどかが、最近は違和感なく会話してる姿を見るようになった。

「廉、まどかちゃんを見すぎだよ~?」
「別にいいだろ、幾ら見たって」
「『好き』が駄々洩れだって言ってんの」
「駄々洩れで何の問題があんだよ」
「もう、好きにして。まどかちゃんに『重い』って言われても知らないから」
「え」

朝陽の言葉がグサッと来た。
俺、重いのか?

「まどかちゃんに気付かれないように毎日のように男子に釘刺してるし。休み時間の度にまどかちゃんのサイトチェックしてるし。暇さえあば、ずーっとまどかちゃん見てるし」
「………」
「毎日送り迎えしたいんだろうし。休みの日も、当然一緒にいたいんだろうし」
「……それ、全部したら重いのか?」
「ちょっと引くよね、普通」
「……マジで?」
「マジで」

知らなかった。
初めての彼女だから、加減が分からない。