放課後。
朝同様、まどかと手を繋いで駅へと向かいながら。

「上條、まどかからの誕生日プレゼント、大事にしなよ?」
「言われなくても分かってるっての」
「ホント、分かってる?」
「何だよ、その言い方」
「言っとくけどね~、まどかの作品めちゃくちゃ人気で、注文しても早くて半年待ちなんだからねっ?」
「は?」
「あっ、ほらやっぱり分かってないんじゃん」
「え、……まどか、マジでそうなの?」
「………うん、大体それくらいかな」
「え゛っ……」
「何なに、どういうこと?」

話の見えない朝陽が覗き込んで来た。
いや、俺も分かんないんだけど。

「まどかね、超人気のハンドメイド作家なの。で、半年待ち状態のオーダー無視して、上條のために徹夜して仕上げたんだよね」
「えぇ~っ、まどかちゃん、ホントなの~?愛だねぇ~♪」
「っっっ~~っっ」

昨日初めて見た時、すっげぇカッコいいと本当に思ったけど。
マジでそんな凄い作家なんだな。

「まどか、……改めて、ありがと」
「……変な気遣わせてごめんねっ。和香もっ、もうその話題には触れないでって何度も言ってるのに…」
「いいじゃん。まどかの気持ちがちゃんと伝わって無いなら、彼氏失格だから。そこは親友として譲れない」
「……和香っ」
「長瀬、教えてくれてありがとな」

類は友を呼ぶだな。
長瀬って、まどかと一緒で心根が綺麗なんだな。


俺らの噂はあっという間に広まり、数日経った頃にはすっかり落ち着いた。
というより、俺がそう仕向けたというのもある。