会場で活けると雰囲気や周りとの相性があり、思っていたのと違うから変更することも多い。
今回は初めてだったので、さらに時間がかかってしまった。でも、いい感じだ。
後ろから声がした。
「なかなかやるじゃないか」
振り向くと玖生さんが見ていた。
秘書へ一瞥すると、彼は頭を下げて先にエレベーターへ向かって行った。
「そうですか?気に入っていただけたなら嬉しいです。あ、朝は車のお迎えありがとうございました。助かりました。メールしてくれたらよかったのに……」
不機嫌そうにこちらを見た。
「お子様は早く寝て、朝は寝坊するんだろ。メールなんか見る時間ないはずだからな。気を遣った」
また……そんな下を向いて。いじけてそんな言い方して。もう。



