「あ、聞いてます。ごめんなさい。眠くなってきちゃった。明日起きられないと困るから、寝ます。切りますね。また、メールします。今日はごちそうさまでした。ありがとうございました」
「なんだ、子供みたいに。もう寝るのか?まだ十時だぞ」
「ええ。私、子供なんです。では、おやすみなさい」
そう言って、切った。玖生さんはいい人だし、嫌いじゃないけど、結婚相手としては私では役不足。身分違い。私は学んだから今度は間違わない。
翌朝。
家の前に車が止まっている。八時半だ。見たことのある車。
出て行くと、運転手さんが降りてきた。昨日の人だ。
「おはようございます。織原様」
「あ、昨日はありがとうございました。あの?」



