「とりあえず、お友達からはじめていきましょう。徐々に教えてあげますね」

 彼が左手を出した。握手?友人だから?すると、私の右手を引っ張った。そして何故か抱き寄せる。

 「ああ、頼んだ。よろしくな」

 耳元で低音のイケボが囁く。

 私の新しい男友達は無駄に色気がある。それを注意することもできない。身体を離すと見たことのない甘い目がこちらを見ていた。私の中で何かが警笛を鳴らした瞬間だった。