御曹司はこりごりなのだ。
 
 「……わかったわ。これから彼女が来るから、貴女の気持ちを伝えておきます」

 「ええ。よろしくね。私はこれから花材屋さんに行ってくるわね」

 「気をつけて」

 「はーい」

 手を上げて祖母を笑わせた。今となってはふたり暮らし。祖母だって若くはない。彼女が望むことは何でもしてあげたい。由花はその御曹司がどんな人か知らないがとりあえず会う決心をした。

 花材屋さんから帰ってきたら、祖母が縁側に座っていた。

 「おばあちゃん、ただいま」

 「ああ、おかえり。由花、片付けたらちょっとここへお座り」