「そんなこと言うな。君を選んで付き合ったということは、あいつもそれなりの考えがあったはずだ。君は他の女とは違う」
「でも結婚相手には選ばれなかったの。お相手が御曹司だということも、身分違いだということもわかっていないお子様だったのよ。ホテルの人に知られて笑われたわ」
玖生さんは何も言わず私を見つめている。
「……ごめんなさい。私は過去のことだと思ってる」
「山川さんはお前達が付き合っていたことを知っているのか?」
「あの口ぶりだと知っていたんでしょうね」
「……わかった。別れた理由は今の現状を見ればわかるからな」
「そうね。要するにフラれていなくなった私を見つけて驚いただけよ。そして、いじってみたんでしょ、好奇心で」



