「何がです?」

 「え?それはもう、玖生さんがどう成長するかでしょ。仏頂面は見飽きたよ。イケメンなんだから、嘘でもいいから笑って欲しいよね」

 私はにやつく須藤さんの顔を見て、吹き出してしまった。

 一ヶ月後、ようやく少し仕事に慣れてきた。社員の人から話しかけられたり、顔見知りのお客様も増えてきた。

 「はい。営業三課の林ですね。少々お待ちくださいませ」

 そう言って、内線で営業三課へ連絡する。

 「お待たせ致しました。林がすぐにお迎えに上がりますので、そちらへおかけになってお待ちください」

 すると、しばらくして林さんがエレベーターから降りてきた。こちらを見て、目配せする。立ち上がりお客様を案内した。