祖母はまたため息をついた。
「それにしても、玖生さんも困った人ね。お前に頭をかち割られて丁度いいと思ってたけど、まさか執着してくるとはね」
「おばあちゃんこそ、すごい言い方だよ」
「まあね。あの席での彼は褒められたものじゃなかった。私も彼に社交辞令言う気にもならなかったくらいよ」
すると、おばあちゃんの携帯電話が鳴っている。お稽古のことならとおばあちゃんが手帳を取り出して電話を見て、私に言う。
「清家の大奥様だわ。どうしたのかしら」
そう言って、電話に出た。
「え?あ、ああ。いえ、あの……」
私がいぶかしんで見ていると、おばあちゃんが電話を差し出して小声で私に言う。



