「玖生。この間のことで母さんがお前に仕返ししたがっててね。驚いたか?」
「ああ、でも連れてきてくれて嬉しいよ。父さん、彼女とのこと応援してくれて本当にありがとう」
「玖生。幸せになれよ。秀美も喜んでいるはずだ……由花さん」
「はい」
「玖生のこと、よろしくね。予定通り、君をエスコートして玖生には入ってもらう。その前に杉原社長とご令嬢に挨拶をしておこう。玖生、父さんがお二人と話している。一緒に入ろう。そして正式にお断りをしておこう」
「わかりました。ただ、亜紀さんとまだ話せていません。できれば彼女とふたりで……先に話したいんですが……」
玖生さんは私を見て目配せした。私はうなずいた。
「そう。じゃあ、由花さんはここでとりあえず待っていて」
そう言って、ふたりは出て行った。



