叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する


 私が小さくうなずくと、彼は息をはいた。

 「早く言ってくれればいいのに……準備もあるだろう」

 私は用意されていた想定問答などを彼に渡して、説明した。

 彼には一時間前に見せれば十分だとお父様が言うのでそうしたのだ。

 「俺だけ内緒にしたんだな。さては、この間の仕返しか。おばあさまだろ?」

 「どうしてわかるの?」

 「こういうことをしたがるいたずら好きなところがあるんだよ。まあ、俺も似たもの同士だけどな」

 「パーティーの司会者や関係者は打ち合わせ済みだとお父様がおっしゃってました」

 「父さんは実はとても有能なんだ。いずれ徐々に仕事へ戻ってもらうつもりだよ。何より俺のためにね」