上から下までお任せして、変身した。
自分じゃないみたい。鏡の中の自分はシンデレラさながらだった。
大奥様が入ってこられた。
「あらあらまあ……ふふふ。綺麗よ、由花さん。玖生さんに見せてあげたかったわね」
「大奥様。素晴らしいお着物ありがとうございました」
「それね、玖生さんの母親が着ていたの。そのままあなたにあげますからね」
「ええ?!」
「何驚いているのよ。これから、着てもらう機会は多いから慣れておいてもらわないとね。まあ、着物には慣れているだろうからそこは安心ね」
「はい」
「じゃあ、行きましょう。あの人のところへね」
そう言って、いつも仕事で行っていた本社ビルへふたりで車に乗って移動した。



