ということはたまに意地悪ってこと?私、困るんですけど。大奥様ってここにいるときはとてもそんな風に見えない。
「あらあら、そんな顔して。大丈夫よ、鍛えてあげるわ」
おばあちゃんが笑っている。
「由花。頑張りなさい。玖生さんが好きなんでしょ?」
「おばあちゃんったら、もうやめて」
大奥様とおばあちゃんは真っ赤になった私を見て、笑っている。
まな板の鯉。なるようになれ、だ。
三日後。
大奥様の手配してくださった部屋へ入り、お着物をお借りした。
お着物はもちろん、帯も素晴らしい。さすがとしかいいようがない。うちにも古い着物でいいものもあるが、手入れをしていないのでここまでではない。着物を知る者としては、緊張するくらい良い物だ。



