「気が強いという噂は本当だったのね。なんでも以前は神田ホテルグループの御曹司とお付き合いされていたとか。婚約直前までいったのに、結局他の女性にとられてしまったと聞いたわ。それでも懲りずにまた御曹司とお付き合いするなんて、勘ぐられても仕方ないんじゃないの?」

 目を光らせて攻撃してきた。皆同じ事しか言わないのね。

 「玖生さんとのお付き合いと今までのことは関係ありません。わざわざ私に日本まで会いにいらしたのに、噂を信じて話すくらいなら会わなくてもよかったのではありませんか?とても残念です」

 私はそう言うと、立ち上がりレシートを取った。

 「時間がないのでこれで失礼します。お会計はしておきますので、お許し下さい」

 「待って。私はビジネスでも彼のことを理解しているつもりよ。海外で彼との仕事は二人三脚でやったこともある。諦めないからそのつもりでいてちょうだいね」

 「わかりました。失礼します」

 頭を下げて立ち去った。

 宣戦布告されちゃった……でも、最終的に結婚相手を決めるのは彼女でも総帥でもない。もちろん私でもない、彼なのだから……私は彼の言葉を信じるだけだった。