「由花。家業なんだから、私に関わりなくやってほしいのよ」
「おばあちゃん。お弟子さん達だって来ればおばあちゃんの顔を見たくなる。退院していると知ればなおさらよ。この家に招くのに、いちいち大変だわ。もう少しよくなってからのほうが私も助かるの」
「……確かにそうね。迷惑かけるわね」
「何言ってるのよ。早くよくなるようにお昼ご飯もきちんと食べてね」
「ええ。由花は料理もうまいし、本当によい娘よ。玖生さんにはもったいないわ」
「……おばあちゃんったら!」
祖母は嬉しそうにこちらを見ながら話す。
「玖生さんがアメリカへ行ったそうね。大奥様からうかがっているわ。お前があまり落ち込んでないから、うまくいったんだろうと想像してたけど、違うの?」
「うん。おばあちゃんの言うとおり、彼を信じようと決めた」



