「継承問題は取引先の取りまとめ以外に何かあるようなら連絡してくれ。ただ、縁談のはなしは本当に残念だ」
「ありがとうございます。ご恩に報いることができるよう、努力します」
杉原は、玖生の肩を叩いて出て行った。
日本ではその頃、由花の祖母が退院してきたばかりだった。彼女は継承のことや祖母の介護に忙しかった。
「由花。私のことは放っておいて大丈夫よ」
「……おばあちゃん」
「お稽古はどうしたの?」
「今週はおやすみにさせて頂いたの。退院してきて具合が悪くなったりするかもしれないから、様子を見たいと思ったし……」



