「確かにそうでしょうね。ただ、もうすべて解決しました。僕はその女性といずれ結婚するつもりです」
「玖生君!」
「今すぐには彼女の都合で無理なのです。でもいずれ何があろうと彼女と一緒になると決めています。彼女もわかってくれている」
「……そうか。君が結婚してくれないと娘は諦められないんだよ。するならとっととしてくれ」
強い口調で言われ、玖生は父親としての彼の苦渋を再認識した。そして、申し訳なく思った。
「申し訳ございません。本当に……」
「玖生君。あの子は今ロサンゼルスのほうの支社にいるが、君がいる間に必ずこちらへ来るだろう。落ち着いて話せるように配慮してやってくれ。君のおじいさまから結婚できるかもしれないという淡い望みを与えられてその気なのだ」
「……わかりました。努力します」
杉原会長は立ち上がると、握手を求めた。



