まさか、あの家元……今日の昼の話をすでに半日であちこち吹聴して回っているのか……俺が考え込んでいたら、おばあさまが睨んでいる。まずい。
「……どなたから聞いたんですか?」
「私の情報網を甘くみないでちょうだい。噂すずめが周りにたくさんいるのよ。真実も嘘も半々だけどね」
「やっと由花が俺と付き合うことを了承しました。それより由花のことでろくでもない噂を五十嵐流の家元が流していて、それを今日の昼に鷹也と一緒に訂正してやりました。由花とは結婚前提で付き合っていると言ってやったんです」
「あなたという人は……そういうことに免疫がないせいでしょうけど、少し大人げないですよ」
「……すみません。おばあさまのおっしゃるとおり、免疫ありませんので」
開き直って嫌みを言ってやると、おばあさまはため息をついた。
「あの人には報告しましたか?まあ、私にもまだなんだから、言ってないんでしょうけど」
「おじいさまはもちろん、父さんにも何も話してません。まだ、最近なんです」



