二人を残して俺は急いで車へ向かった。

 「崎田。すまん、遅れた」

 「……坊ちゃん。急ぎますよ」

 携帯を見るとおばあさまからメールが来ていた。噂のことか……おばあさまは社交界に出入りするし、色々耳にするからおそらく知っているはずだ。

 夜にでも屋敷で話しましょうと返信し、仕事へ戻った。

 その夜。
 おばあさまから呼ばれて部屋へうかがうと、座るように促された。

 「玖生さん。由花さんとは結婚前提にお付き合いしていると噂が流れています。どういうこと?私に報告が先でしょ?」