「由花、変な勘ぐりはよせ。それと、俺といる限りそういう心配は無用だ。神田と一緒にするな。それが一番むかつく」
由花はびっくりしたようにこちらを見た。
「ごめんなさい。そんなつもりで言ったんじゃないの」
「由花。これからも似たようなことがあるかもしれない。これからは何かあったらすぐに俺に報告してくれ。鷹也から話を聞いて俺がどれだけ心配したか……」
「……ごめんなさい」
「約束してくれ。ひとりで抱えるな」
黙ってしまった由花の肩を自分の方へ抱き寄せた。彼女は逆らわず、俺に頭を預けた。
「玖生さんの足を引っ張るようなことはしたくないの。今は大事な時期よ。あなたこそ注意して欲しい。私の襲名とは規模も大きさも違いすぎる」
「俺のほうは大丈夫だ。何しろおじいさまも清家内部の人間も俺しか跡取りに考えていない」



