「どこに行くの?」 「そうだな。フレンチなんてどうだ?」 「そんな……この間鍋焼きうどんを作った私にそれを聞く?でも連れて行ってくれるんだったらどこでもいいわ」 「ああ、歩いてすぐだ。よく家族で使っているところだから、すぐに予約が取れた」 私の手を握る。こんなこと初めて。驚いて顔を見る。 「ダメか?」 「……玖生さん」 「今が攻めどきだろ。違うか?」 私があっけにとられているのを面白そうに見ている。