叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する


 引き出しから、大切にしまってあった袋を取り出し、鞄に入れた。

 「これから行きます。着いたら下で連絡します」

 玖生さんにそうメールした。
 すると、食事はしたかとひとこと返事が来た。まだと答えたが、既読になっても返事がこない。きっと相当忙しいのだろう。

 タクシーで本社につくと、電話がなった。玖生さんだった。

 「車が上から見えた。食事に行こう。店を予約しておいた。下に行くから待ってろ」

 「はい」

 そう言うと、彼が降りてきて名前を呼びながら微笑んでくれた。

 先ほど協会であった嫌な出来事を忘れさせてくれる笑顔だった。彼との大事な話の前だ。頭を切り替えようと思った。 
 
 「お疲れ様です。今、大丈夫でした?」