「そうかもしれないけど、気をつけないと私のせいで織原のお弟子さんが中傷される」
「そうね。何かあれば愚痴なら聞くわよ。私は樋口早樹。よろしくね」
彼女と一緒にいたので、その後何も言ってこなかった。
ただ、今回のはなしは五十嵐流だけでなく多くのところで噂になっていると彼女からも聞いた。
女性が多いこの業界で噂話が広がりやすい。何も知らずおそらくお弟子さん達に不信感が広がっている。説明が必要だと痛感した。
「お疲れ様でした」
そう言って、周りには頭を下げた。おばあちゃんのことを誰も聞いてこない。うちに対する悪評が広まっているのだろう。
時計を見るともう六時になろうというところだった。
急いで片付け、一旦自宅へ戻った。



