叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する

 
 「私も中田オーナーがツインスターホテルにどちらの流派を使われているか確認しませんでしたので、ご迷惑おかけしたのなら謝ります。ただ、今後の契約などの話にはなっていませんので、ご安心下さい。これからは十分気をつけます」

 悔しかったが頭を下げた。
 すると、家元は嬉しそうにきびすを返し、取り巻きと話し始めた。

 「大丈夫?」

 振り向いて見ると、見たことのない人だった。まだ若い。彼女が言う。

 「考え方が古いわよね。牙城って何?そんなもの、いくらでも崩される可能性があるのに、なにか暗黙の不可侵条約でも結んでるのかしらね?オーナーがあなたに惹かれて変えたとして何の問題があるの?あまり気にしないほうがいいわ」

 「ありがとう。あなたもまだ若いわね」

 「ふふふ。私は新興流派よ。流派が小さいし、認められるまでも大変だった。さっきの人達は私が何かしても大して気にしないわ、きっと。東京周辺にしかお弟子さんもいないしね。あなたの所のような歴史のある全国規模のところは標的にされやすいのかもしれないわね」