叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する

 
 須藤さんはすでに仕事中。会ったら真っ赤な顔をからかわれるところだった。

 昼過ぎから華道協会の打ち合わせに出席した。始まる前に、突然『五十嵐流』という古参の流派の家元から声をかけられた。周りにまだ大勢残っているときだった。

 「織原さん、家元はその後どう?」

 「はい。おかげさまで来週頭には退院出来そうです。ご心配おかけしました」

 「ねえ、聞きたいことがあるの。あなた、どうやってツインスターホテルの装花の仕事を手に入れたの?まさか、神田グループの時と同じ方法じゃないでしょうね?」

 悪意を隠しもしない言い方に驚いた。周りも雑談をやめてこちらを見ている。

 「この間、ツインスターホテルの創業祭にあなたが花を飾ったのは何故かしら?今まであそこのホテルはうちがやらせて頂いていたのよ。オーナーから依頼がなかったから変だと思っていたら、織原流に頼んだというじゃない。理由を聞いたら、個人的理由とおっしゃるのよ」