スーツを着こなした玖生が車から降りてきた。 夜目で見てもやはり美男だ。切れ長の目がこちらを見て、微笑んだ。私は微笑んで手を振った。 運転手さんがこちらを見て微笑んだ。 私も会釈すると、車をバックさせて戻っていった。 「お疲れ様」 「ああ。急にすまないな」 「いいわよ。どうぞ」 彼を家に上げた。初めてだった。 キョロキョロと見ている。