「では、出発まで急いで国内の仕事を片付けます。失礼します」
そう言って、部屋を出た。
夕方に仕事を片付けて由花に連絡したかったが、終わらなかった。夜半になって、彼女へメールをした。
在宅しているとわかったので、会いたいというと驚かれた。すでに二十時近くだった。
「いいわよ。うちでよければどうぞ」
「すぐに行く。何か食べるものがあるか?」
「何も食べてないの?」
「ああ、本当は夕方までに仕事を終えて、お前に連絡したかったんだが、終わらなかったから……」
「いいわよ。残り物で何か作るわ。清家の御曹司のお口に合うかどうかわからないけど。庶民の食べ物でもいいかしら?」
「ああ、由花の手料理ならなんでも食べる」



