叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する


 その頃。
 玖生は本社の総帥である祖父に呼ばれて部屋へ入った。
 
 見ると、父もいる。
 何か言われると直感した。

 「玖生。わしももうすぐ八十になる。いい加減、お前に家督を継いで、わしは引退するつもりだ」

 「……おじいさま、父さんがいますよ」

 「……玖生。わかっているだろ?俺はすでに仕事から手を引いて十年近くになる。今更何もできないし、皆ついてこない。お前の手腕を清家グループの者達は認めている。安心しろ」

 いつか言われるだろうと最近は危惧していた。おじいさまの誕生日がXデイになるだろうと周囲が皆最近口にしていたからだ。

 「だが、条件がある。わかっているだろ?」

 「……その条件はいずれということではだめですか?」