「玖生さんがとてもいい方なのはわかっています。私がお付き合いをお断りしたのは、彼に原因があるのではないのです。私に問題があって……」

 私が話すのを彼は手で遮った。

 「そんなことまで話させるつもりはないよ。それに、君の気持ちは他人がどうこうするものでもない。君が誠実なのは今のその話をしようとしてくれただけでもわかる。いいんだよ、無理しないで」

 「……中田さん」

 「君のその迷いもすべて玖生が解決してやれたらいいんだけどね。ふたりの今後は君達で決めるべきものだ。僕は応援するだけだよ」

 そう言って笑いながら立ち上がった。私も立ち上がって礼をして別れた。