「仕事のせいで母を亡くしたと後悔しているんだと思う。そして、今や慈善活動のほうに熱心だ。医療関係の慈善活動なんだよ。母の病気のせいだと思う」
「後悔されているんですね、きっと」
「清家財閥の総帥は恐ろしいほど忙しい。そして、重責だ。今は俺が次期跡取りと思われている。俺も忙しい。仕事は好きだが、そんな両親を見てきたせいか家庭を持つ自信がない。だから、女性を遠ざけてきた」
彼は私をじっと見た。
「君はそんな俺に雷を落とした。俺はそれに感電して、心を入れ替えた。そして……君となら家庭を持つこともできるかもしれないと思ったんだ」
家庭を持つって言った?それって……え?
「……どうして?」



