「今日来るつもりじゃなかったんだが、時間があったので連れてきたかった」 そう言って、森の近くの道を走っていく。すると、別荘と湖が見えてきた。 「ここ?」 「ああ、そうだ」 そう言って、別荘の駐車場へ車を入れた。 「ここは、俺の小さい頃よく来ていた別荘。母がここで療養していたんだ」 「え?」 「都内から一時間半くらいで来られるが、父はほとんど来なかった」 湖の側まで歩いて行き、湖を見ながら話を聞いた。 「俺が見合いや女性を遠ざけていたのには実は理由がある。それをお前に話したかった」