偶然?必然?運命です!

岸井くんは何も話さない。



でも私から目を逸らすこともない。




「納谷さんと言い合いになって、叩かれて……」



「ああ、ちょっと赤くなってんな」



「っっ」




頬に大きな手が触れる。



温かい。



何故だかわからないけど泣きたくなった。




「カッとなった時に目が……血のように真っ赤になった……の」



「うん」



「私は……納谷さんの首を掴んで……」




一度ギュッと目を瞑る。



あの気持ちを思い出す。




「思ったの」



「何を?」




言いたくない。



きっと怖がられる。



気持ち悪いと思われる。



でも聞いてくれる岸井くんに言わないわけにはいかない。




「……このま……ま絞めてしまいたいって。そしたら凄く愉しいんだろう……な……って」




人が苦しむ姿が……愉しい……なんて。




「……」



「だからっ私はっ……!!」




岸井くんが困った顔をしてる。



そう……だよね。



こんな“化け物”、嫌だよね。




「泣くな」



「……?」




いつの間にか泣いていた。



涙がポロポロと零れてた。




「“化け物”かもしないっ」




好きな人にこんなことを言いたくない。



好きな人の前では可愛くありたい。



なのに




「ぶぁーかっ」



「うっ?」




乱暴に涙が拭われる。



その乱暴さとは裏腹に声は優しい。




岸井くん?




「お前がもし“化け物”になったら」



「……なったら?」