私の彼は御主人様

『はぁっ! はっ。』


ノワールが飛び起きる。


喉が焼けるように渇く。


喉だけじゃない。


体の細胞ひとつひとつが。

血を欲している。


『まだ…まだ大丈夫だ』


律を起こさないように静かに台所へ行く。


震える指でミネラルウォーターのボトルを掴み、水を飲む。


『ルージュ』


暗闇の中ノワールが絞り出すような声で言った。