『えええ…』


不満の声を思わず上げると細くしなやかな指があたしの顎をくいっ、と持ち上げた。


(なんかやばい? )


これされる時はだいたい嫌な事が起きる。


『主人は貴様か? 律…それとも俺か? 』


剣呑に光るグレーの瞳。


にやり。


『ひぃ!』


なまじ綺麗な顔だから余計迫力がある。


『ノワール様です…っ』


満足そうな笑顔。


『では風呂に入る。湯を貯めろ』